すでにハイスクールまでの学力が備わっているかも知れないと聞かされたとき、ベルハースにえもいわれぬ感情が湧き上がった。

 このまま成長して、彼の将来は何になるのだろう。

 この施設に閉じこめられているだけの行く末に、学問など何の意味があるのだろうか。

 この子はここから出られない事を知っている、それでもこれが己に与えられた事なのだと続けている。

 ベルハースは少年を自分の研究室に案内し、乱雑に資料が置かれたデスクに腰掛ける。

 ひと息吐いて、上にある数枚の紙を手渡した。

 受け取ったベリルに隣の椅子を促し、腰を掛けて読み始めた様子をじっと見つめる。

 読み進めるその顔は相変わらずの無表情だった。