箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「君たちは、師匠と弟子の関係だったんだ。そうだろう?」

 ベルハースたちには子供だったのかもしれない。

 それぞれの立場は違えど、その立場の愛情は確かにあった。それが、こんな形で砕け散るなんて。

 それでも、ベリルが逃げおおせたのだと考えたなら、まだ一縷(いちる)の望みがある。

 いや、ベリルが自由になることは、彼らが最も望んだものだったはずだ。

 どんな形にせよ、これは彼が自由になる運命の一つだったに違いない。

 マークは何かに導かれるように、おぼつかない足取りで歩き始めた。

「全ては、同時に起こっている」

 ここで命を落としていた未来があったのかもしれない。

 連れ去られていた未来があったのかもしれない。