箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「……ここには、これだけの人がいたんだね。ベリル」

 えぐれた地面の中心に降り立ち、ゆっくりとしゃがみ込む。

 微かに滲む赤い染みは、ベリルの流した涙のようにも思えた。

 ぼんやりとした視界の先に、きらりと光るものを捉えて手を伸ばす。

 掴み取ると、五センチほどの楕円形をしたプレートだった。

 ボールチェーンにつながれたそれは乾いた血と土で汚れ、ここに誰がいたのかを明確に示していた。

 マークは、刻まれている名前に体を震わせてドッグタグを握りしめる。

「ブルー。君は──っ」

 兵士時代の習慣とでも言うのか、彼は常に認識票を身につけていた。

 よもや、それが役に立つなんて皮肉な話じゃないかと、笑う頬に涙がつたう。