「ベリル──嘘だろう!?」

 こんな終わり方はあんまりだ。

 彼はもっと色んなことを知りたがっていたのに、こんな終わり方でいいはずがない。

 連れ去られたとしても、こんなやり方で連れ去った連中の元で現状よりいい環境に置かれるとは思えない。

 実験棟にたどり着き、全ての部屋が黒く燃え尽きていることに眉を寄せる。

 焦げ臭い室内に踏み入ると、かなりの熱だったのか原形を留めている電子機器は一つもなく、見事なほど隅々まで燃えていた。

「これは……」

 データはまとめてあるとベルハースは言っていた。

 ベリルのノートも実験室の一つに置いて講義の都度、チームの誰かがそのノートを運んできた。

 筆跡からのデータを取っているのだとも思っていたが、徹底したやり方に多少の疑問があった。