箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

 昨晩は緊張していたせいか、壁の外に出たのだと実感する暇がなかった。

 改めてその場の空気に触れる。

 緑の香りと朝露に湿った草木は、ベリルの頬を自然と緩ませる。

 しかしすぐ、壁を見据えて中の様子を肌で窺う。

 耳を澄ましても何の音も聞こえない。

 どうやら敵は諦めて撤退したらしい。

 ベリルは慎重に壁に近づいて爆弾を取り出すと、それを頑丈そうな扉に仕掛けた。