箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「ぐおっ!? ──っがふ!」

 斜め上に沈めたナイフをねじる。

 男と目が合い、痛みと驚愕の眼差しがベリルに降り注がれた。

 ベリルは手元に伝わる気持ちの悪さに顔をしかめ、ナイフを引き抜く。

「ぐ、ごふっ……。き、さま」

 倒れる男が伸ばす手に心臓を掴まれるような苦しみを覚え、止まらない体の震えを抑えて遠ざかる。

 ブルーがせき止めてくれたせいか、ここはほとんど手つかずだ。

 この場所は今までもあまり使われていないエリアだった。

 ベリルはそれにやや違和感があったが、ひとまず脱出しなくてはと扉を目指す。

 見えてきた金属の扉は自動ではなく丸いノブがあり、掴んでひねれば軽く開いた。

 本来は閉じられているはずなのにと眉を寄せ、もしやブルーが遠隔操作で解錠してくれていたのだろうかと、暗くなった辺りを見回し思考を巡らせる。