箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

 重たい衝撃に体勢を崩しそうになりながらも、痛みで判断を鈍らせないよう気をしっかりと持ち、攻撃してくる相手の動きを見逃すものかと見据えた。

 動けなくなるほどの致命傷は受けてはいないものの、このままではこちらの体力が持たない。

 一旦、距離を離すと男はハンドガンを手にした。

 すかさず銃口がどこに向いているかを見極めてどうにか交わす。

 数発は体をかすめ、走る痛みに己の未熟さを噛みしめる。

 だけれど、もう教えてくれる者はいない。

 ベリルはナイフを抜き、男の手元にその刃を走らせた。

「っ!?」

 熱い痛みに男は思わずハンドガンを手放し、予想しなかった反撃に目を丸くする。

 闘えない子供と侮っている今なら勝機はある。

 一気にその懐に飛び込むと、驚く男の腰にナイフを突き立てた。