──ベリルは聞こえた爆音に振り返らなかった。
懸命に気持ちを奮い起こし、立ち止まらずに出口に向かう。
ふいに、真っ直ぐに走るベリルの右脇から黒い影が飛び出した。
近づく足音を耳にして待ちかまえていたのか、殴られた勢いで壁に叩きつけられる。
男は、痛みに小さく呻く人物にライフルの銃口を向けた。
「ガキ?」
まさか子供がいるとは思っていなかったのか、覆面越しでも解るほどいぶかしげにしていた。
いや、これは違う。
ベリルは自分を見る男の動きに、死とは別の危機を感じた。
持っているライフルでは間に合わない。
かと言って、体格差だけでなく武装している相手に生身の打撃は通じない。



