「正常だよ」

「じゃあ、報告書はもらっていきますね」

「私の研究室にある。勝手に持っていけ」

 ぶっきらぼうに言い放ち、部屋から出て行く後ろ姿を見つめた。

 それを無表情に眺めるベリルの肩にベルハースは手を回す。

 見上げて気遣うように小さく笑うベリルにベルハースも笑みを返した。

 現存する人種のDNAをかき集め、それを分裂・合成・結合させて造られたベリルは、あの男の言うように「パッチワーク」なのかもしれない。

 キメラというモンスターから取られたその俗称も、そういった意味合いが含まれている。

 だからといって本人の前での発言にベルハースはいささか憤りを覚える。

 ベリルに感情の起伏はあまり見られないが初の人工生命体だ、解らない事の方が多い。