「しかし」

「行ってくれ」

「一人でも生き残って欲しいんだ」

 躊躇うベリルにアリシアは力を振り絞り、その唇にキスをした。

 ベリルは口の中に広がる鉄の味に、眼前の死を受け入れる。

「さあ」

 こんな所で立ち止まらないで。

 ベリルは、ブルーたちの顔を記憶に焼きつけるように見回したあと、銃撃が止むと同時に駆けだした。

「そうだ、行け」

 施設から出たことのないベリルに、一人で生き抜けと追い出したのは間違いかもしれない。

 しかし、あいつならきっと乗り越えられるだろう。