箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

 何か、何かあるはずだ──!

「ベルハース博士は」

「実験棟だろう。データを消去するつもりだ」

 その言葉にベリルの目が見開かれた。

 ブルーは苦々しく笑みを浮かべ、近づく足音にライフルを構える。

 博士たちのいるフロアはここから遠く、助けに向かう間に敵に出会う確率が高い。

 戦える者がいない現状では、彼らの無事を祈るしかない。

「相手が何者にせよ、データが渡ることは避けたいだろうさ」

 お前のことも知られるのは痛いだろうしな。

 ベリルは小さく紡がれたブルーの言葉に、いぶかしげな目を向けた。

 どうして自分の事を知られる事が痛いのか解らないといった顔つきに、ブルーは苦笑いを見せる。