「くそっ!」

 部屋から出たマークは、自分の力ではどうにも出来ない悔しさに思わず口調が乱暴になる。

 どんなに考えても、いい案が思いつかない。

 襲撃の目的は一体、なんなんだ?

 まさか、生物兵器かなんかと勘違いしているんじゃないだろうな。

 小さめの会議室で一人、動向をじりじりと窺う。

「いつになったら軍は動くんだ!」

 襲撃を受けたという報告の時点で、もとより政府は諦めていたのかもしれない。

 人工生命体は倫理的にも問題があり、奪われたところでその公表は難しいだろう。

 生物兵器に転用できる要素もあまりない。

 暗殺者に仕立て上げるなら充分かもしれないが、わざわざ造り出すほどのメリットなど皆無に等しい。