「なんですって!?」

 上司に呼び出されたマークは、受けた報告に目を見開いた。

 襲撃を受けたのは一昨日だと言うじゃないか。

 たかが下っ端には知らせる義務はないとはいえ、担当である自分まで後回しにされるのは勘弁ならない。

「攻撃を受けているなら早く軍を──」

「簡単には出せない」

 最重要機密であるが故の事だが、落ち着き払った様子の上司に苛つく。

 腰掛けている本革の椅子さえも忌々しく思えてしまう。

「見殺しにするおつもりですか!?」

「そんなつもりは無い!」

 語気を荒げた上司に返す言葉がなく、喉を詰まらせた。

 彼とて使われている身だ、その立場はマークとなんら変わりはしない。