箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「詳しくは解りません。しかし、好意的な相手でないことは確かです」

 実感が湧かずに問いかけた教授は、ベリルの言葉にゴクリと生唾を呑み込んだ。

 冗談をあまり言ったことのない少年が、こんな大がかりな嘘を作り出すはずがない。

「誘導します。なるべく静かに移動してください」

 二十人ほどが大人しくベリルの後ろを追う。

 警報は鳴り止む気配を見せず、不安が募るばかりだ。

 しかし、実戦を知らず外に出たことすらもないベリルが、これほどまで冷静に行動している姿には驚きを隠せない。

 十五歳の少年が大人しくしているというのに、こちらが騒いでいては恥ずかしい。

 そんな感情が彼らを抑制しているのだろう。

 それにしても、なんと手慣れたように武器を持っているのだろうか。

 まるで、戦い慣れした兵士のようではないか。

 嫌悪を示す人間も数名いたが、今はそれに安心させられていた。