「この子が」

 鮮やかな緑の瞳に誘われるように、ハロルドは無言で近づいた。

 目線を合わせるために片膝を突くと口を見るよう示しゆっくりと、

「ハロルドだ。解るね?」

「ハロ、ルド」

 無表情に見上げて応えた子供にハロルドは口角を吊り上げた。

「ふ、ふふ。素晴らしい……。天才か」

 ベルハースは友人の瞳に異様な輝きを感じたが、彼が優秀な人間を探していた事を思うと、この反応は当然なのかもしれない。

 国は、キメラを「天才少年」だとして専門家たちを呼び寄せた。

 キメラが歳を追うごとに専門家を増やしていく計画だ。