箱庭の螺旋-はこにわのらせん-


 ──二人はトレーニングを終えてシャワールームで汗を流し、そのままスポーツドリンクを手に会話を交わしていた。

 次の講義までは少し時間がある、ベリルは休むことなくブルーに戦術について教えを請うていた。

 もっとのんびりやりゃあいいのにと苦笑いが浮かぶ。

 しかしふと、

「どうした」

 ベリルの様子に眉を寄せる。

 気配を探るように険しくした目尻は初めて見る表情だ。

「空気が違う」

 それにブルーも辺りを窺う。

 やや張り詰めた気配が感じられる。

 まだ遠いが、これは明らかにこの施設に向けられているものだ。

 戦場の緊張感が蘇る。

 胸の奥底から込み上がる得体の知れない気持ち悪さと、汗ばむほどの高揚感──こんな感覚はもう来ないと思っていた。

 互いに顔を見合わせたあと、ベリルは専門家たちがいる建物に、ブルーはモニタルームに駆け出した。