箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「そう言ってもらえると嬉しいけどね」

 ベリルがそれを重要視するのは今後、経験するかどうかも解らない実戦に向けてのものではないことはブルーは知っている。

 受け継がれてきた伝統を内包する体術は、人の営みを感じさせてくれる。

 しかし、広がる可能性を体感出来るのはそういった経験からなる動きだ。

 あらゆる手段で人というものを知ろうとするベリルに、ブルーはその出自を恨めしく思った。

 人というものを造り出すことがどれほど大きな罪なのか。

 いつか、それが当たり前の世界となるときが来るのだろうか。

 しかし、そんな世界はベリルが生きている間に来ることはないだろう。

 そして、それが普通の世界になることを、ブルーはあまり良いとは思えなかった。