箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「上達が早いな。俺が教えることが無くなって来たぞ」

 タオルで汗を拭い、十五歳とは思えないほどの身のこなしに自身の衰えを実感する。

 ベリルは成熟していく一方でブルーはただ年老いていくだけなのだ、体術の相手はそろそろ限界かもしれない。

「まだまだ教わる事はあります」

 相変わらずの無表情に少しの笑みが浮かぶ。

 格闘技や武術の専門家はブルー以外にも呼び寄せられているが、こと実戦にかけてはブルーに教わることの方が多い。

 技術だけなら他の専門家も引けを取らないどころかブルーは兵士だ、それのみに特化した相手とやりあえば勝てる見込みはあまりない。

 しかしそれは、あくまでもルールのうえに則(のっと)ったもので、それが崩れたときの素早い対処と考えれば実戦経験のあるブルーに軍配が上がる。