何よりも生命と生活の保障はなされており、差別や虐げられているといったこともない。

 国家機密という部分において情報は厳守されなければならないことは当然ではあるし、それを了承してここにいるのだ。

 疑問はあれど、今のところは反抗したい要素は彼らにはなかった。

 第一に、教えたものを今も吸収し続けている天才が確かにここに存在するのだから、それが彼らの不満を小さくしていた。

「ベリル、今日は何がしたい」

 ブルーはトレーニングルームでベリルに尋ねる。

「そうですね」

 聞かれてしばらく考えたあと、

「お手合わせ、願えますか」

「いいだろう」

 ブルーは口角を吊り上げ、柔らかく造られた木のフローリングに向かう。