アリシアは最近になって、何かがおかしい事に薄々気付き始めていた。

 他の専門家も同じ感覚なのかもしれない。

 国家機密に関わった事がないため、こういうものなのかと考えてはいるものの、やはり腑に落ちない。

 これだけ長く携わっていれば、ベリルに行われているものが単なる天才の研究というには違和感があった。

 一人の人間に施すには、あまりにも施設が巨大すぎる。

 それに見合う成果は望めているのだろうか。

 政府は何かを隠しているのではないだろうか。

 だからといって、どうにかなるものでもない。

 何を隠しているのか気にはなるけれど、それを暴きたいと思えるほどには勇気も力もなかった。