箱庭の螺旋-はこにわのらせん-


 ──約束の日、ベリルが調理実習を行う厨房でアリシアと二人、ケーキ作りを始めた。

 アリシアはフリルの白いエプロンを付け、ベリルは胸から膝ほどのシンプルな黒のビブエプロンを身につける。

 初めて見るベリルの姿に思わず顔が緩むのが解った。

「どのようなケーキを作りますか?」

「えと、普通の」

 アリシアはハッとして、眉を寄せるベリルに半笑いを返した。

 普通のって何よ私……。

 いくら緊張してるからって普通のは無いでしょ。

 なんで年下の子に緊張しなきゃなんないのよ。

 どうやら心の中で葛藤を繰り返しているであろうアリシアを、ベリルは見つめて小さく笑う。

「それでは、まずスポンジケーキから作りましょうか。飾り付けは焼いている時にでも考えればいいでしょう」

 冷蔵庫に入っている材料はすでに確認してある。

 ひと通りのものは揃っていた。