施設には女性の専門家はアリシア以外にも数人いるが、彼女ほど若くはないせいかそれぞれの仕事をこなす事を重視している。

 本来なればアリシアが一般的かもしれないのだが、この中にあってブルーは彼女を珍しく感じた。

「それは、あれだ。戦場にいる仲間みたいなもんだよ」

「そうなんですか?」

 全てを知っているブルーに、ベリルが心を開くのは当然のことなのかもしれない。

 だが、それを他の人間に話す事は出来ない。

 心苦しいがそれが約束なのだ。

 ベリル自身も、彼らのために自分の正体を明かす事はしない。

 知るべきでないもの──己の存在をそう認識しなくてはならない現実に、ブルーは眉をひそめた。

 ならば、せめて俺だけでもあの子の理解者でい続けてやりたい。

 いや、もう一人いたか。

 マークを思い出し口元を緩める。