加えて、軍での生活が長かった事で日常に対する感情や動作などの変化には気付きにくい。

 険しい顔をしたブルーにアリシアは、そんな深刻なことではないと前置きした。

「あの子……。あなたに一番、懐いている気がして」

 十五歳になったベリルは子供の頃の態度はすっかり消え、十も歳が離れているのに見つめられるとこちらが目をそらしてしまうほど魅力的に育っていた。

 ブルーは何を言い出すのかと目を丸くする。

「あっはっはっ、ベリルが俺に?」

 武器を扱う手前、厳しく接している自分に懐いているとは思えないブルーはつい声を出して笑った。

「だって、あなたと会話しているとき、あの子とても楽しそうにしていますよ」

 アリシアの言葉にブルーは少し関心を示した。

 ベリルを嫌っている者はいないようだが、彼女のように気に掛けている者もいないだろう。