──そうして一年に一度の友達が施設を訪れる。

 彼は大きな荷物を検問員のテーブルに乗せて額の汗を拭った。

「こりゃまたでかいな」

「誕生日プレゼントだよ」

「一体、何が入ってるんだ」

 黒い制服を着た検問員は大きな腹を揺らしてバッグのファスナーを開いていく。

「なんだいこりゃ?」

「ぬいぐるみだよ。可愛いだろ」

 マークは白い犬のぬいぐるみを引っ張り出して抱える。

 ベリルの部屋は質素で殺風景だと青年はいつも感じていた。

 邪魔だと嫌がるだろうかとも考えたが、それならそんな表情が見られるのだからいいじゃないかと奮発した。

 次に友達から借りてきたアルバムを示し、許可を貰うとひとまず荷物を部屋に預けてすぐにベリルの元に向かった。