しかし、ベリルはそれを望まない。

 彼が学んでいるのは人を傷つけないための方法だからだ。

 ブルーは一般的な武器だけでなく、日常にある多くの物にもどれだけの殺傷力があるのか、それをどう使えば武器となるかなどを教えていった。

 物の強度や形を瞬時に把握し、一定の状況下でどう持てば有効な武器になるのか。

 それらは戦闘になったとき武器がない、あるいは出せないといった考慮出来うる限りの状況を想定し進められる。

 驚くことに、ベリルからなされる想定状況はブルーが考えている数を遙かに上回り、むしろブルーの方が大いに学ぶこととなった。

 一度も外の世界を肌で感じた事のないベリルだからこそ、なんの先入観も持たずにあらゆる状況を考えられるのかもしれない。

 それはブルーにとって胸の痛くなるものではある。