ベリルは誰にも教わらずにそれらを感じ取り、同じく上手く対応してみせている。

 互いが理解し合えたからこそ、悟られずに今まで来られているのだろう。

 まさに奇跡とも言うべきかもしれない。

「あの子に憎まれたとしても、それは甘んじて受け入れるつもりでいた」

 それだけの事をしてきたのだから。

「私は己の責任から逃れるつもりはない」

 無骨で不器用な男の唯一の誇りだった。

「それもまた、私の生きてきた功績なのだよ」

 誰にも認められる事もない、賞賛される事もないだろう。

 人間の歴史の汚点だと言われても仕方がない。

 多くの命は生まれては消えていった。