箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

 ──溜息を吐きつつ、マークはベルハースたちのいる研究室でコーヒーを傾けていた。

 ふと、パソコンを睨みつけているベルハースに目が留まる。

 彼はいつも仏頂面をしていて、なんとも話しかけづらい雰囲気を漂わせている。

 意図的なものかもしれないが、性格的なものだろうとも思える。

「教授」

「なんだね?」

「どうして僕に彼の名を?」

 今までずっと尋ねたいと思っていた事に意を決した。

 施設にいる人間を覗いてベリルという名を知っているのは自分だけだ。

 彼は初めから僕に少年の名前を告げていた。

 そして、それを伏せて欲しいとも言わず……。