それほどに、ベリルに対する想いは強かった。

 マークに子供がいない事も理由にあるのかもしれない。

 子供をほしがっていた妻のローラは生殖機能に難があり、やむなく諦めていた。

 それによって夫婦仲が悪くなったという事はなく、妻をより大切にしようとマークは決意を固くしていた。

 マークには兄がいて、弟を持つとはこんな感覚なのかとも考えてもいた。

 だが、そんな心の奥ではこの感情はもしや傲慢なのではと思う事もあった。

 自分はただの、普通の人間だ。

 友達になろうと持ちかけた感情の裏には、実験動物としての哀れみは本当になかったのだろうか。

 僕は本当に彼に誠実に接しているのだろうか。

 そこに欺瞞はないのだろうか。

 考えは頭の中をぐるぐると回り、繰り返しても結論は出ない。