──視察当日、マークは持ち込む荷物の入ったバッグを手に格子扉の前にあるカウンターで男の一人と向き合っていた。

 ベリルのいる建物に入るためには、持ち物チェックをしなければならない。

 着替えなどの持ち込まない荷物は別棟にある宿泊施設に置いてくる事になっている。

 スマートフォンはここで預かりボックスに入れられ、手にあるものを渡して金属探知機を通る。

 中身を全てカウンターの上にまかれて一つ一つのチェックが入る。

 マークはその間も落ち着かない様子で時折目を泳がせた。

 一般の監視カメラの他に紫外線カメラと赤外線センサーなどがあちらこちらに設置されていて妙に緊張してしまう。