喜田は前に私にこう言った。
『お前はリアルでは『THE無口』だけど、ネットではうるさい』
多少つめたい言葉のように聞こえるが、
私としては少し嬉しかった。
私の素を理解してくれた人が出来たからだ。
だからといって学校で喜田と話せるかというとそうでもない。
顔を見て話すことなどできないし、
喜田から話しかけてくるなどということはあまりない。
喜田は自分から話しかけるタイプではない。
むしろ、女子に興味ないなら、私が話しかけてもそっけないだろう。
そう思うと話せなかった。
そうしてる間に一週間、二週間……
と時は流れ、気づくと次第に私の後ろの席の女子と喜田が仲良くなっていた。
女子に興味ないと言っておきながら、仲良く女子と話してる喜田を見てちょっとイラついた。
喜田と話していた後ろの席の女子の名前は『高山 怜』
怜ちゃんは、スポーツ万能、頭も良く、積極性もあり、顔も可愛い。肌は白く、つるんとした綺麗な肌。黒目も大きく男子からはモテモテの子だ。
そんな私と正反対の怜ちゃんはとても社交的で、すぐに喜田とも打ち解けたみたい。
喜田は怜ちゃんといる時はとても楽しそうだった。
次の日。
1時間目から美術の授業があった。
今日の授業は、『一点透視図法』というものだった。
画用紙に一点透視図法を使った絵を描けとのことだったが、いいアイディアがなにも浮かんでこない。
だが怜ちゃんはすぐに画用紙に下絵を描き始めた。参考にしようと私は怜ちゃんの絵をじっと見ていると、隣の喜田も怜ちゃんの絵を見ていた。
それに気づいた怜ちゃんは
『なんで2人して見てるの⁉︎めっちゃ恥ずかしいんだけど‼︎笑』と笑いながら言った。
喜田は私に『お前描けよ。』と言ってきた。
はじめて話しかけられてびっくりした。
私は笑うしかなかった。

