「大月 未流さーん診察の時間ですよ」

《はい》

ノートにペンをはしらせ

仲良しの看護師
なっちゃんに見せる。

「そっかそっか。体調は、どう?
後で点滴かえよっかー」

コクっと頷くと
なっちゃんはニコッと笑った。

そんなことを話してると

担当の先生、福田先生がやってきた。

「未流ちゃん、発作とかない?
だるさとか、頭痛とか…ない?」

《ないです》

「そっか。辛くなったら
ナースコールをすぐに押して。」

脈を計りながらいう福田先生。

あまりに真剣にいうもんだから
私も頷くしかなかった。

福田先生は、安心したのか
私のいる個室を出て行った。

なっちゃんは、点滴を変えながら

口を開いた

「未流ちゃん、隣の個室に
同い年の子が入ったの、知ってる?」

私は、首を横に振った。

隣の個室かぁ…
わかんないな。

「未流ちゃんに負けないぐらい
綺麗な髪の色してるわよ?」

髪の色…??

私のローズピンク色の髪の毛。
生まれつきこんな色だった。

「しかも、中学生に見えないくらい
イケメン君。だけど…」

そう言ったなっちゃんは、
ドアの方をそっと見つめた。

「こっらぁぁあ!!!!!!
何回言えばわかるのこのあんぽん!
抜け出すなって何回もいってんでしょ
まちなさい!!」

看護師さんの声なのか
母親の声なのかわからないけど

怒鳴り声が聞こえてきた。

「やだし!!待てと言われて
待つ馬鹿なんていねぇよ!」

そんな声がドアの外から聞こえてくる。

《さわがしいですね》

「そう…あの子が…隣の個室の…」

え??隣の個室の?

そう言いかけてなっちゃんは
点滴を変えて出て行った