「んー?それでも俺は渋谷の方がいいと思うけど?」


うんうん、と頷く他の連中を見て不思議に思う。
あんな人込みだらけのうるさい場所のどこがいいんだろう?何で憧れるんだろう?
その事が不思議で仕方なかった。
でも、それは俺が東京で生まれ育ったからそう思うのかもしれない。
無い物ねだりするのが人間という生き物。俺もこんな場所で生まれ育ったら、東京に、刺激のある生活に憧れるのかもしれない。


―キ〜ンコ〜ン…


そんなことを思いながら、彼等の話しを聞き流していると、授業開始を告げるチヤイムが鳴った。


「あ、じゃあまたね。草部君」
「もっと詳しく東京のこと教えろよな」


それと同時に、全員が席に戻って行って…
向こうにいた時には見れなかった光景に、少し驚いた。