「あのなあ、舞歌。俺は積極的に、バイクの後ろに人を乗せたくないんだ。だから、今回みたいな場合じゃない限りは…」
「うん。だから、そういう場合の時は私を乗せて。他の人じゃなくて、私を。そうすれば、このヘルメットは私しか被らない。つまり私専用、ってことだよね?」
「………」
言葉に詰まる。確かに彼女の言うことは的を得ている。でも、出来るならあのヘルメットは使いたく、というより見たくない。
あのヘルメットを見ると、先程のように嫌でもあいつのことを思い出すし、なにより、弱い自分を再確認することになるから。
…でも、これから先、今回のようなことがないとも言えない。その度に他のやつを乗せて無意味に思い出すより、舞歌だけを乗せて、あのヘルメットにあいつのイメージではなく、舞歌のイメージを植え付けてしまえばいいのではないだろうか?
あのヘルメットを、あいつの物から、舞歌の物へと変えた方がいいのではないだろうか?
そう、俺は思った。
だから――
