「いや、使ったことあるよ。…数回だけどな」 「…そうなんだ」 俺の言葉に意味を感じ取ったのか、舞歌はそれ以上そのことには触れず、それをただ眺めていた。 そのことが俺は嬉しかった。 「ねぇ、紡君。これって、私以外にも使うのかな?」 「いや。元々誰も乗せるつもりはなかったんだ。今回が特別。だからそれは…」 「じゃあ、私専用にしていいかな?このヘルメット」 それ――白いヘルメットを胸の高さに持ち、期待を込めた視線を俺に送る舞歌。 彼女は人の話しを聞いていなかったのだろうか?