「どう?美味しい?」
「…まあまあだな」
「ふふ。そっか」


意地を張る俺。それを見透かしたように微笑む彼女。
…実際見透かされているんだろうな。
けど俺はそれに気付かないふりをした。反応するのが癪だったから。

…それがいけなかった。そうやって無心で弁当を食べ続けていから気付かなかったんだ。

――彼女が悪戯な笑顔を浮かべていたことに。


「ねぇ。紡君」
「あ?」
「それって間接キスだよね」
「ぶーーーっ!?」


彼女の言葉で、俺は口に含めていたものを吹き出してしまう。