...服、着なきゃ。
携帯もかばんも置きっぱなしだ。
真っ暗な道を歩いて引き返す。
あの場所にまだあの男の人たちがいたら
どうしよう
...怖い。
あやふやな記憶をたどり一つの倉庫と前に
たどり着いた。
中に、いるかな?
倉庫の扉に耳を押し付ける。
誰も...いない???
ぐぐぐっと重たい扉をあける。
倉庫の中には私の服とかばんだけが残っていた。
わたしはボロボロのワンピースを着て倉庫を出た。
「わたしには、帰る場所なんてないんだ...」
6年前、私の親は交通事故でなくなった。
私の誕生日、家族で旅行に出た時に
居眠り運転の車が私達家族の車にぶつかってきた。
前に乗っていた両親は即死、
幸い後部座席に乗っていた私は一命を取り留めた
あの時、自分だけ助かってよかったのだろうかと
ずっと考えていたけど、今回の事で決心がついた
事故があってからずっとそばにいてくれた涼にも
裏切られて、これでほんとに私には居場所が
なくなった。
「死のう..」
帰る場所がない、守ってくれる人もいない
私に生きる意味なんて、ある?
さっきいた砂浜の岩でごつごつした崖に登る。
「あ、寒い..」
冬なのに真っ裸で走ったりしたから
風ひいたのかも
そう考えながら一歩一歩崖のへりへと近づいていく
未練なんて、なかった
ふわっと体が傾いた。
「おい」
そのまま空中に足を踏みだそうとした私の体が
ピタッととまる。
「何やってんの?」
後を向くとそこには明るい茶色の髪で学生服を着た
男子が少し離れたところに立っていた。