お前は俺のモノ。


「なんか綾斗と仲良いみたいだね」


昼食の時間、葵がいきなり
そんな話を振ってきた。
思わず、箸を持っていた 手が止まる。


「そう…かな?」
「うん。だって綾斗の笑顔なんて
見たことないもん」
「まあ、それはそうかもだけど」


確かに櫻本くんの笑顔はを見たのは、
私が初めてだと思う。
でも、それはたまたま私が
最初に見ただけで…


「別に親しい訳ではないよ」


仲良くなった訳じゃない。
もちろん、仲良くなりたいけど
向こうはそんなこと思ってない。

きっと、なろうとも思わないよね。


「そうかなぁ。
でも、放課後会うんでしょ?」
「それはお礼するだけで…」


ガタッ…

その時、隣の席に
櫻本くんが戻ってきた。


「おかえり」


おかえり、なんて言うつもり
なかったはずなのに、口が勝手に動く。

そして、櫻本くんと目が合う。


「…おう」


その一言で会話は終わってしまったけど
何故か、櫻本くんとの距離が縮まった
気がした。

おかしいね。


「なに笑ってるの?」
「なんでもないよ」


まるで、恋してるみたい。