6時間目は数学Ⅰ。担任の科目だ。
ガラッと扉を開けて入ってきた。
「授業を始める前に……宇佐見、新に放課後学校案内してやってくれ」
最悪…。あたし、ただでさえ席が隣で憂鬱気味なのに、学校案内だなんて…
「あの、学級委員が案内してはどうでしょうか?」
あたしは、提案をする。
すると、学級委員の子が席を立ってあたしに向けて手を合わせた。
「ごめん、今日は塾があって無理だから」
あー、そうですか。あなたには塾があるんですね。
あたしには撮影があるの!
!!
今日は撮影日じゃなかった…
「できるな?宇佐見」
「…はい」
あたしは断るいい訳が思いつかず、学校案内をすることになった。
新君の方を見るとにこっと微笑んでくれた。
教室が黄色い悲鳴で覆われる。
あたしには、悪魔の笑みにしか見えなかったけど。

