「 じゃあ、またね!」
「 あ、うん。」
走って去って行く伊藤稜汰の
後姿を見ていると、
なんだか視線を感じた。
ハッと横を見ると綾ちゃんが
ニヤニヤしてこっちを見ている。
「 ちょっとちょっとー
王子様といい感じじゃん!」
「 え!?そんなんじゃないよ!」
「 先輩のために、とか
言ってたんだよ?」
「 きっと誰にでもあんななんだよ!」
もらった飴を見ながら、
そう自分に言い聞かせるように言った。
「 花…王子様好きになったら
きっと敵も多いし大変だよ?」
「 大丈夫、好きになんてならない。
後輩だよ?ないって、絶対に。」
そう、彼は年下。
そして皆の憧れる王子様。
私と彼はただの、先輩と後輩。
