「 ほら噂をすれば。」


王子様のご登校、と綾ちゃんが言うので
後ろを見るとまさに、
伊藤稜汰が校門をくぐる所だった。
男友達と笑いながら話している。

王子様か、なんて思いながら
彼を見ているとふと目があった。

私に気付いてこっちに走ってくる。


「 先輩!おはよ!
何々?俺の事見てたの?」
「 !ち、違うし!」
「 えー、違うの?」
「 違います。」


ちぇ、と言いながら伊藤稜汰は
口を尖らせる。


「 あ、ねえねえ先輩。」
「 何?」
「 これあげるー。」


差し出されたものは
いちごみるくの飴だった。


「 イチゴオレじゃないけどさ、
先輩好きかなと思って。」
「 え…いいの?」
「 うん、先輩にやるために
持ってきたから。」


ちょっと、その笑顔反則!