「それと、香輝君はしばらく面会禁止だから。無菌室にしたからね」



薄いチタンフレームの眼鏡を掛けた先生は、いつもと同じ冷たい目で私を見下ろして、一言言ってその場を立ち去った。



その言葉を聞き終えた私は、事態が余りイイ方に行ってない事に愕然としたままに、涙がまたボロボロと零れ落ちる。



「ぉ、オイ里莉?」

「香輝ぅ…ヤダよぉ……」


小さい頃から、体はよくなかった香輝が小さな体で何度も何度も、発作を起こしてはこんな風に面会禁止を言い渡されていた。そして、私は落ち込んで、泣くだけ…。




情けないよね。



泣くだけで、何も出来ない人間。


小さな人間。


ちっぽけな人間。


何も出来ない自分が、腹立たしくて悔しい。