何も考えないように…って、思ってて窓の外を見ても頭に浮ぶのは、先輩の事ばかり。




それをフリ払おうと、私は口を開いた。


「に、兄さん…。香輝をアメリカに連れて行くって言ってましたけど」





「あぁ…。向こうの知り合いに片っ端から連絡を取って、香輝の詳しいし資料を送って検討待ちだったんだが、一カ月前にイイ返事をもらえたのと、香輝自信の体力も出て来たと言うのもあって今回アメリカに行く事を決意したんだ」








私の方を見る事なく、兄さんは喋り続ける。



その顔を見ながら、香輝が愛されている事が凄く分かる。


私の欲しかったモノを香輝は難なく手に入れる。けど、それに対して憎しみがあるとか恨みとか一度だって思った事がない。むしろ、羨ましいとしか思った事しかない。






「新堂との事は、奴に任せようと思う。アメリカでの事で何か意見があるのなら、奴に言え」








「はい」



もう、諦めるしかない…。