時間が経てばどんなに好きだったりする想いもいつかは消える。



そんなこと分かってた。
分かってたけど、家族になった瞬間あたしはその気持ちを瞬時に押し込めた。



焦って上手く消化出来ずにいたんだ。



ーー…今も。



伝えたいこと何一つ伝えきれずにいるけど、この想いがこっそり消えていけば良いと願ってる。




「春ー、今日俺とデートして」



「…わっ、」



不意に後ろから声を掛けられて、ビックリして声を上げる。



「ビックリするじゃん、急に現れないでよ川杉」



後ろにいる川杉に不貞腐れた自分の顔を向ける。当の本人はなんだか楽しそうで。



「…春がボーッとしてたから気付かなかっただけだろ。それよりデートしろよ」



「……勝手にすればっ」



ツンとした態度を取ると、「よっしゃ、じゃあ今日の放課後な〜」なんて言って自分の席に戻って行った。