夕方の、少し赤み掛かった太陽が、彼女の姿を包む。



「あ、あと、俺はもう料理部には顔出さないから! 適当に部員は言い包めとけよ」



遠ざかる宇率に、王輝がそう投げ掛ける。



彼女は返事をすることもなく、ただまっすぐに出口を目指していた。



すっきりとした細いシルエットだけが、やけにはっきりと目に焼き付く。



「もう、終わったんだ……」


「あんな謝罪で良かったのか?」


「十分だよ。あんなプライドの高そうな人が、あそこまで自分を見せてくれたんだから。
それに、辛かったのはあたしだけじゃなかったみたいだしね……」



呆然と立ち尽くすその後ろ姿を、赤い光は当たり前のように照らしていた。