「あなた達にはわからないと思うけど、あの人達の間では、恋人の質と数がその人のランクを決めるの。
だからあたしは、必死だったわ。無駄に媚び売って、必要以上に愛想を振りまいて、……。格好良かったり、評判のいい人を見つける度に、彼氏も変えた」
笑いながら話す宇率来女は、自棄にでもなっているようだった。
跳ね返り、響き渡る声が、その様子を淋しく飾る。
宇率の話が進んでいくにつれて、安出泉の顔からは、色が消えていった。
「それじゃあ、透は……?」
恐る恐る、でもしっかりと放たれた声に、宇率はまっすぐに答えた。
「府林透って評判いいじゃない?頭は悪いけど、人柄も顔も文句ナシって感じで。
あたしは注目してなかったんだけど……あなたの彼氏になってから、彼の評判が上がり始めたの」
「そんなこと……」
「あるわよ。その時のあたしの彼氏も何か微妙だったし、代わりにあたしの彼氏になってくれたらラッキーかな、って」
「ラッキーって……」
「もちろん、声掛けて見込みがなさそうだったらおとなしくしてるつもりだったのよ?
でも、府林透ったらすぐにあたしになびくんだもの。こっちが困っちゃったわ!」
宇率は腕を組んでふいっ、と視線を反らした。


