がらがらとイスが動かされる音が響く。


それと同時に、授業から解放された自由を喜ぶ声が聞こえた。



乙戯学園では、授業の延長を考慮し、始業や終業を表わすチャイムは鳴らしていない。



授業が延びることよりも、チャイムによって教員の話が妨げられることの方が問題である。



そう主張して、授業が終了する度に流れていた無駄にキラキラとした派手な効果音を廃止に持ち込んだのは、いつの生徒会だっただろうか。



「皆様、移動を始めたみたいですわね。もう少しの辛抱ですわ」


「あぁ。勝負は授業が始まって少したった頃だな。ここでやってくれないと、そろそろキツい。
隠れてるのがバレても困るしな」


「お黙りっ!静かに!」


「またかよ……」



廊下に進出し始めた生徒達のことを考えてそう言った姫羅を見て、王輝は深い溜息を吐いた。