「どうかしたのか?」



少し曇った表情をする姫羅に、王輝がソファーに戻りながら首を傾げた。


そのまますとん、と座って足を組む。



目の前にいるのが姫羅でなければ、王輝のそのしぐさに見とれていたかもしれない。



それ程までに、王輝の動きはスマートだった。



「負けましたの。完璧に」



姫羅は、重い溜息を落とした。



「さすがに将来有望なエース相手では、にわかな練習ごときでは太刀打ちできませんでした。
安出泉のやる気を引き出すための勝負でしたので、この結果が正解だと言われればそれまでなのですが……」



そう言って落ち込んだような顔をする姫羅を見て、王輝は思わず笑った。



「何を笑っているんですの?」


「いや、そんなことで凹んでるなんて面白いと思ってさ」


「面白いって……」