「府林先輩ね……。あの人は割りとみんなから慕われてるし、かなりいい人に見えるよ。
まぁ、裏で何をやってるかまでは、俺の知ったことじゃないけどね」


「そんないい加減なことを……。未来の宝子家の秘書兼護衛としてはあるまじき言葉、なんじゃ……?」



からかうように少しはっきり言った王輝を、瑠は思いっきり笑い飛ばす。



「そんなこと言って……。今、この立場で危ないのは王輝の方だよ?ここは家じゃないんだからさ。
俺が報告しちゃえば、王輝は万馬波々[ばんば なな]行きだよ?」


「瑠、お前って結構黒い性格……。あ! すみません、僕……」



焦ったように視線を落とすと、王輝は溜息を吐いた。


部活を盛り上げようとする、府林の声が自然に耳に入ってくる。



「いえいえ、お褒めいただいてありがとうございます。おぼっちゃま!」