「そうなると、この手紙がもともとどこに置かれていたものなのかを考えて、その場所と関係がありそうな人物を徹底的に調べるしかありませんわね」


「そうだな。あ、そう言えば、何でお前は安出泉のロッカーから手紙を取り出せたんだ?
ロッカーには鍵が掛かってるなら、安出泉いないとロッカー開けられないんじゃないのか?」



不思議そうな顔をして姫羅を見つめた王輝に、姫羅は穏やかな笑みを浮かべた。


そのまま、プリンのカップとスプーンを片づけようとすっ、と立ち上がる。



ソファーに席る王輝には、立ち上がって姫羅がとてつもなく大きく見えた。



「それは企業秘密、ですわ」



姫羅は、そう言ってくるっ、と180度方向を変えた。


王輝からはその表情はわからない。



だがさっきの姫羅の微笑みは、恐ろしいくらいに綺麗だった。


王輝が、そんな姫羅をじっと見つめる。



「あ、姫羅……プリン、美味かった。……ありがとう」


「どう致しまして、ですわ」



鍵の件には、もう二度と手を出すもんか……ーーーー



ひっそりとそんなことを考えながら、王輝はぼーっ、と姫羅を見つめた。