「これは、安出のロッカーに入ってたんだよな?」


「えぇ。ですが、もともとロッカーに入れられていたものではないという可能性もありますわ」



わざと遅くまで部室に残っていた姫羅は、安出に近づこうと、部についていろいろと話を聞いていた。



「部室のロッカーには個別に鍵がかけられますし、鍵の場所を知らなければ、部室をことはできませんから。
施錠は水泳部の決まりでもありますし……」



顎に片手を当てながら、姫羅が話を続ける。



「実物もとても綺麗でしたし、別の所にあった物を安出泉自身がロッカーに移したということは考えられませんか?」


「そうだな……。部室に入るだけならまだしも、安出泉のロッカーの鍵を開けるのは難しいだろうからな」



王輝は、空になったカップをテーブルに乗せながら言った。


ぐっ、と両腕を伸ばしてソファーに体を預けながら、天井を見上げる。



真っ白な天井には、眩しいくらい豪華なシャンデリアが輝いていた。


この何とも気分の悪仕事に向かう王輝にとっては、嫌味以外の何物にもならない。